洛中洛外図屏風を堪能−林原美術館

 林原美術館岡山市)で昨日17日から始まった「洛中洛外図屏風に描かれた世界」を見てきました。

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 何がきっかけだったのか思い出せないのですが、1996年に岩波新書から出た黒田日出男先生の「謎解き 洛中洛外図」を読み、内容が非常に面白かったこととあわせて、本に書かれている学問に対する姿勢とかがすごく納得できたこともあり、一度上杉本を見てみたいなあと思ってきました。

 黒田先生の本の中には、「歴史家の推理・推論がどのような壁にぶつかるのか、それをいかに乗りこえて、どのようにして結論にいたることができたのか」という過程が書かれており、「研究史こそが本当に人間臭くて、一番興味ぶかいもの」とか、資料や史料をみるにあたり、「われわれは「・・・・として」ないしは「・・・・について」見るのであって、そうした志向性(関心)の枠組みから外れた記述や「もの」については、たとえそれらを見たとしても「見えた」ことにはならない」など、普段わかってるつもりのことが、改めて文字で書かれていて、自分で何か買いたりするとき、事あるごとに何度も振り返ることができるというありがたいところがありました。

 今回、上杉本だけでなく、舟木本、東博模本、林原本をあわせて見ることができるということで、出かけました。

 久々に集中して展覧会を見たような気がします、そんなことではいけないのですが。

 図録を先に買い、持っていった洛中図の本なども参考にしながら、場面場面を楽しみました。

 上杉本は驚くほど保存状態もよく、素人目にみても、すごくよく描かれているなあと感心するほどでした。

 一場面を集中してみたり、描かれたものを比較してみたりしていると、なかなか疲れはしましたが、楽しい時間が過ごせました。もう一度見てみたいと思う展覧会でした。