読了したが−進化思考の世界

 三中信宏著「進化思考の世界」を読了して暫く経つけど、いろいろ考えることが多い本でした。

 学史に対する姿勢。

 p126「約200年前のマクリーの五員環分類をいまの私たちがあざ笑うのは簡単なことだろう。しかし、当時

    に身を置いて考えたとき、その観念論的な分類体系ははるかに説得力をもって世に広まっていたにちが

    いない。」

 以前、亡き佐原真さんが書いていた文章が思い浮かぶ。

  「今から見て、誤っている過去の解釈をそしることはたやすい。

  しかし、その解釈の基礎となった当時の考古史料の実態や、時の研究者をめぐるさまざまな環境、他の研究者

  の考えとの関連などを総合することなしに、その非をとなえることは、正しい評価から外れることになろう。」                      (佐原 真「1 総論」『弥生文化の研究10 研究のあゆみ』)

 大学時代に恩師から教わったこともそういうことだったと思う。

 個別事象の解釈か、法則定立か?。

 自分の勉強している分野にも共通する課題だ。

  

 また、前著の「系統樹思考」と「分類思考」を読み返す。

 前よりよく理解できる。

 三本の矢というか、三脚というか。三つ揃うと折れにくいし倒れにくい。