ニコライ堂のニコライ師

 岩波新書の一冊が欲しくて、本屋へ行って新書の棚を見ていたら、同じ岩波新書の中に『宣教師ニコライと明治日本』という本が目にとまって、中を見るとあの神田のニコライ堂のニコライ師のことが書かれていた本でしたので、購入しました。
 先日訪れたニコライ堂はとても印象に残る建築で、中を見学したとき、ちょうど神父さんと信者さんがお祈りをされておられ、雰囲気、声の響き方など教会独特のものを感じ、興味を感じていました。

 

P5050360 ニコライ堂

 本では、復活大聖堂の「復活」の意味やニコライ師があのドストエフスキイとも関わりがあったこと、ニコライ師が『古事記』『日本書紀』『日本外史』を読んでいたこと、日本の幕末から明治への移りかわりとロシア革命の前後を生き、体験された方であったことなどが記されていて、面白く読みました。
 また、いわゆる明治知識人ではなく、日本の庶民の間にお稲荷様や地蔵信仰が盛んであることをみてその人々に「宗教的感情が生きいきとしている」と感じたと日記に記していることが、師の布教活動上の視点ではあるとしても、近代化していく途上の日本の信仰や現在の信仰を考えるうえで、興味ぶかく思いました。